研究実施計画に基づき、今年度までに以下の方法で試作システムを構築し、新たな知見と成果を得た。 1 試作システム全体の設計:顔画像入力から人物識別解析を行うまでの一連のシステムの設計を行った。 2 顔面画像入力装置の製作:フォトメトリックステレオ法に基づいて顔面3次元形状計測を行うために、顔画像撮影装置と、ビデオボードとワークステーションを用いた顔画像入力装置を構築した。 3 顔画像から人物識別特徴データを算出するまでの前処理部の構築:顔画像から3次元空間上での顔面各点のガウス曲率を計算し人物識別の基礎となるデータを算出する一連のシステムを構築した。 4 解剖学的知識を用いた特徴テンプレート抽出部の構築:解剖学的知識により、顔面領域を、動きが大きい部分と小さい部分に分け、動きが小さい部分(鼻周辺部と眉間周辺部)を顔画像から切り出し、この領域上における各点の曲率を特徴テンプレートとして抽出するプログラムを作成した。このテンプレートを用いることで、表情変化によらない人物識別が可能となる。 5 人物識別用プログラムの構築:4で抽出したテンプレート同士のマッチングにより人物を識別分類するためのプログラムを構築した。 6 実験および検証:20名の被写体に対し、基本表情の変化を行わせて撮影された動画像を用いて人物識別実験を行った。その結果、すべての基本表情において98%の精度で人物を識別することができた。 7 応用システムの設計:1〜6の試作・検討を踏まえて、セキュリティシステムなど現実社会に役立つシステムを作成するための要求仕様を決定した。
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