| 研究概要 |
本研究では,遠隔操作に見られるような緻密な操作時を想定し,疲労の少ない立体呈示法について検討する.
本年度では,まず,眼内視差と運動視差を考慮した立体呈示システムの開発について取り組んだ.視差の生成は,カメラの回転によって行い,回転ステージと一体となったカメラを用いた.このカメラの基本的な動きは,眼内視差を利用するための固視微動に相当する小さな動きとした.従来,ワークステーションで画像処理とカメラステージの制御を行っていたが,システムの小型化を図るため,パーソナルコンピュータでの実装を試みた.そして,遠隔操作を想定したネットワークを介して操作者(観察者)側にあるパーソナルコンピュータに処理結果を伝達し,操作者に情報を呈示することを試みた.カメラの小さな動きにより,対象の奥行き判定が行われ,操作者に適切に呈示を行うことができた.
一方,疲労の少ない呈示法を考慮する上で,映像呈示装置の検討も重要である.そこで,立体映像の呈示によく用いられるヘッドマウントディスプレイを使用した時に,視線の移動に伴う眼内視差を考慮した補償を行うことを想定した.視線の移動を行った際に,眼内視差の補償による指標の微小移動を与えた時の知覚に関して測定を行った.その結果,視線移動に伴って,指標移動の検出限界領域に不均衡が見られ,眼内視差の補償の有効性を示唆する結果が得られた.
今後は,立体呈示システム開発において,観察者の頭部の移動による運動視差を補償するための頭部移動量計測系の開発を行い,システム全体での操作者の使用感の評価,ならびに各種の映像呈示装置を用いた時の視知覚の評価について検討を行っていく予定である.
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