(1) 変形モデルの獲得手法の検討 本年度は、静的で線形な変形を仮定した変形モデル獲得手法について検討した。本研究では、形状計測装置および力センサを利用した変形特性の計測手法を提案した。操作点(1点)における変位と力の関係および操作点での力に対する操作点以外の点における変位を計測する操作を、複数の操作点について行うことで、力に対する変位の関係を得ることができる。線形なモデルを仮定していることから各々の関係は行列として与えられ、また、これが複数の点についてマトリクス的に定義される。これは、有限要素法の逆剛性マトリクスに相当するものである。ただし、物体上に計測の代表点を多く取ることは計測作業を増加させることから、計測を行わない点についても近傍の点から行列の補間を行う手法を提案した。 (2) 変形特性の表現手法の検討 上述のモデルを利用して、実時間での変形操作および反力の提示が可能な変形特性表現手法を検討した。上述の逆剛性を記述したモデルでは、モデルに作用する力から物体全体の変形を容易に計算することができる。しかしながら、一般に変形操作をおこなう指などはモデルに対して強制変位の境界条件を与えることから、操作入力をそのまま変形モデルに適用することはできない。本研究では、接触点が必ずしも多くないことを前提として、これらによる強制変位の境界条件を等価な力境界条件に変換する手法を提案した。また、計測点以外の点での操作に対する反力および変形を補間により求めるアルゴリズムを提案した。2指までの操作について力覚提示装置を含む仮想環境に実装し、安定な力覚表現が可能であることを確認した。
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