研究概要 |
本年度においては,ソフトウェアの設計情報に関する変化について,ソフトウェアの設計過程に見られる設計者の作業上の設計判断に基づいて分析を行い,定式化することを試みた. 本研究ではまず,オブジェクト指向ソフトウェア開発方法論に代表される種々のソフトウェア開発方法論における設計ガイドラインの調査を行い,それらに共通する設計上の手順(ソフトウェアプロセス)を抽出した. その上で,抽出したプロセスに沿った設計情報の変化を分析するために,従来より研究代表者らが提案している制約分離型スキーマ記述方式を適用し,設計プロセスの前後におけるスキーマ記述の差分を解析した. この設計情報の差分解析結果に基づき,ソフトウェアの変化・発展を支援するために必要な機能について考察し,設計情報を管理するソフトウェアリポジトリ上でそれらの支援機能を実現する方式に関して検討を行った. 本年度の研究目的として揚げた二項目に対する研究成果および今後の展望については以下の通りである. 1.ソフトウェア開発時の設計判断の定式化 オブジェクト指向設計方法論における設計ガイドラインについて調査を行い,設計過程における代表的な設計判断プロセスとして,詳細化,部品化,類型化、再利用を挙げ,それぞれのプロセスにおける,設計情報記述の各要素の相互作用について分析を行った. 2.意味情報の変化を支援する方式の研究 1で分析した設計方法記述の相互作用を制約分離型スキーマ記述方式で記述することで,設計情報の変化を支援する機能を,我々が提案する制約分離型リポジトリ上に実現する方法に関して考察を行った. このような機能を備えたリポジトリを実現することで,ソフトウェアの変化・発展を系統的に支援するミドルウェアとしてのデータサーバを実現することが期待でき,これを次年度においても継続的かつ重点的な研究課題をする.
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