研究概要 |
マルチエージェントシステムを開発するための枠組として,Agent-based Distributed Information Processing System,ADIPSフレームワークを研究開発してきた経験をもとに,新たなマルチエージェントシステムシステム間のオントロジー交換プロトコルを設計することが研究目的である. 1999年度は,オントロジー交換プロトコルを処理するマルチエージェントフレームワークの設計,エージェントアーキテクチャの設計を行い,知識表現モデルの検討を行った.この結果,つぎに示すようなエージェントアーキテクチャ,知識表現モデルが本研究目的に適しているという知見を得ることができた.エージェント間通信プロトコルは従来の通信プロトコル記述言語と同様に,メッセージと状態遷移図により表現可能であり,桑原らによるAgenTalkと同様の方式で実現可能である.しかしながら,オントロジー交換の過程で生じるエージェント間プロトコル自体の再定義と利用を実現するためには,不十分であり後述するエージェントアーキテクチャを記述するモデル記述言語の導入の必要性が明らかになった.知識表現モデルとしては,多様な表現形式を受容する必要があり,その処理系は述後論理を元に構築する.形式表現言語としては,XMLを用いることで,エージェントプログラム環境の実現を容易にし,既に存在する多くのXML形式の知識表現を流用可能にする余地を残した.エージェントアーキテクチャは,これまでのADIPSフレームワークと異なり,新しいモデルを定義実行できるモデルが必要であり,かつモデル自身の振る舞いを実行時に動的に変更することで,オントロジー交換に対処する必要がある.このため新たにエージェントのモデル記述言語を設計した.この表現形式も知識処理系と同様に,形式表現としてXMLを採用した.以上,目的とするマルチエージェントシステム間のオントロジー交換プロトコルを実証するための,あたらしいマルチエージェントフレームワークを設計した.
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