研究概要 |
本研究の目的は,ADIPSフレームワーク(エージェント指向分散処理システムを構築するための枠組)に基づく分散システムの開発を効率的に行うための開発支援環境を確立することにある.本年度は,上記のシステムを構築するためのソフトウェア部品(以下,部品と略記する)に関し,「仕様記述形式」「部品獲得方式」「部品蓄積管理方式」「部品再利用方式」の4項目について研究を行った.その結果次のような新たな知見を得ることができた. 1番目の定義項目である仕様記述形式については文献調査を行った.その結果,協調作業を行うエージェントの知識記述形式が部品の仕様記述,特に設計知識(部品を利用するためのノウハウ)の記述に向いていることが明らかになった. 2番目の定義項目である部品獲得方式については,その方式を形式化するまでには至らなかった.しかし,部品となる多数のプログラム片を作成する過程において,前記した仕様記述に必要な記述項目が明らかになった. 3番目の定義項目である部品蓄積管理方式については,現在までに開発されたADIPSフレームワークの部品庫では,蓄積した部品を検索する機能が不十分であることが明らかになった.このため,エージェント間協調を利用した部品検索システムを新たに試作し評価した結果,これが有効であることが明らかになった. 4番目の定義項目である部品再利用方式については,部品間の組合せの整合をとるためにはエージェント間協調を用いることが有効であることが明らかになった. 以上の定義項目の評価のためにADIPS開発支援環境の設計と試作を行った.上記の仕様記述形式および部品再利用方式の2つに関してはその妥当性を検証することができた.
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