研究概要 |
既往の研究において、包除被覆がChoquet積分で表現されるシステムの構造解析に関して重要かつ有益な概念である事が示されている。また、非常に困難であった包除被覆の同定問題に関しても、メビウス変換を通した特徴付けによって、市販の表計算ソフト並びに統計パッケージ等でも簡便に同定できるようになった。また、包除被覆によって与えられる階層構造は、互いに相互効用独立な分解となっている。本研究では,まず、Choquet積分モデルを同定する際のデータに対する「測定法からの独立性」について考察した。つまり、包除被覆の概念が、本質的には同じ物を表現しているファジイ測度の正の一次変換に対しても、保存される概念であるかどうかについて考察した。これに関しては、シミュレーションにより肯定的な結果が得られ、数学的な命題としても証明がなされた。続いて,Choquet積分モデルにおける属性の集合が縮小された場合において,階層的構造を保存するような形でのモデルの縮小方法について考察した。ここでは、ゲーム理論における代表的なゲームの縮小法である仁型とShapley値型の縮小法を採用した。これに関するシミュレーションによって、階層構造は、仁型の縮小法では保存されないが、Shapley値型の縮小法では保存されるという結果が得られた。この結果を基に、数学的な考察を行い、上記のことを数学的な命題として証明した。また、属性間の相互作用の効果として解釈できるメビウス変換の縮小の際の分配の方法が、仁型とShapley値型の縮小法における結果に対して本質的な影響をもたらしている事を明らかにした。更に、双対なChoquet積分モデルに関しても、包除被覆の概念が保存されることも明らかにした。
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