平成11年度は、周波数割当問題と重み付き多数決ゲームに関する、算法の構築を行なった。 周波数割当問題に関しては、単位円盤グラフと呼ばれる、実際の携帯電話ネットワークに非常に良く似たネットワークにおいて、周波数割当問題の子問題である、独立集合問題について、その近似解法を構築した。これまでの近似解法が、最適値の3倍以内であることを保証するものしか存在しなかったのに対し、計算時間をかければそれだけ保証精度が上がるタイプの算法の開発に成功した。 また周波数割当問題を連続化した、連続化頂点彩色問題についても、限りなく2倍近似に近い解法を開発した。今後は、この連続化された問題の解を手がかりに、本来の周波数割当問題を解く解法の開発を目指す予定である。 重み付き多数決ゲームについては、従来の解法と異なる、列挙法を基本とした解法の構築に成功した。またこれを機会に、従来の方法をまとめた概説論文を執筆し、雑誌に掲載された。さらにDeegan-Packel指標と呼ばれる、近年開発された指標にかんしても、これを計算する算法の開発を行った。概説論文では、アメリカの大統領選挙の実例について各指標の計算実験も行なっている。
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