研究概要 |
平成11年度から2年間に渡る奨励(A)科学研究費の支援の基に行われた,テーマ「AHPの基本モデルを構築すること」に関する研究成果を前半1年間について報告する.従来AHPでは,評価対象の重要度を一対比較値の主固有ベクトルによって与えられていた.本研究では,固有ベクトル法のモデルはペロン・フロベニウスの定理を基にしたminmax分数問題として定式化できることを示した.その研究成果を論文"A Logical Interpretation for the eigenvalue method in AHP" Journal of the Operations Research Society of Japan 42(1999) 219-232としてまとめた.この論文では,n人非協力ゲームのナッシュ均衡解とAHPの関係についても示した.この論文の成果を含めた研究成果は8月に開催されたAHPの国際シンポジュウムと北京での国際連合OR学外でそれぞれ発表し,海外の研究者との意見交換を行った.さらに提案したモデルの検証を行うために,学生における住居選択決定に関するアンケート調査を行い,調査とその結果解析はノートパソコンとワークステーションによって行った.この結果から不完全情報化でのAHPの基本モデルの構築が重要であることを再認識し,不完全情報化でのAHPのモデル化について研究を進めている.その研究成果の一部は,A model-based AHP with ioncomplete pairwise comparisons",日本OR学会秋季大会(1999年9月)で口頭発表した.なお,これらの一連の研究活動の成果は「AHPの理論と実践」が(日科技連)の第7章としてまとめ,3月には刊行される予定である.
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