研究概要 |
爆発引火の危険性の高い大型タンクが密集している化学プラントでは,地震等の不慮の事故により災害が発生する恐れがある.そこで,周辺地域に影響を及ぼす拡散,火災等の災害の発生や,その規模ならびに影響範囲を充分に把握する必要がある.また,プラント内で災害が発生した際に防災指揮者が安全かつ効率的な対策を決定する判断資料とすべく,災害発生からその後の状況が解析できるコンピューターシミュレーション開発の必要性が高まっている.このような点に鑑み,化学プラントのタンク内容物の漏洩,拡散を対象に,その影響範囲を把握し得るシミュレーション開発を本研究目的とした. タンク貯蔵物の流出・蒸発・拡散現象を評価する場合,従来適用されている高圧ガス保安協会による防災指針では,各々の現象を複合せず単独に扱っており,その時刻歴変化も考慮していない.そこで,貯蔵物の蒸発と滞留に関する物質収支を考慮し,流出・蒸発・拡散の各現象を微小時間毎に連成させて扱い,経時的拡散濃度分布を表示するシミュレーション手法を開発した. 本手法ならびに解析例について,(社)日本機械学会主催の1999年度年次大会(於:慶応大,平成11年7月),ならびに(社)日本材料学会主催の第17回材料・構造信頼性シンポジウム(於:東京大,平成11年11月)において発表し,その成果を示している.
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