本研究を進めるにあたり、東京工業大学大学院社会理工学研究科社会工学専攻の坂野達郎氏、草瀬美緒氏、高坂容平氏と私的な研究会である「自治体情報化研究会」を組織し、電子メール等のインターネットを利用した情報交換と定期的な会合を持って研究を進めた。 本年度は、主に研究代表者が実施してきた既存の調査や研究を整理し、自治体における情報化のコンセプトの確立を目指した。特に広報や公聴といった観点から既存の情報媒体である手紙、電話、FAX等との比較分析を行なった。利用者の増加、あるいは要望が自治体のインターネット利用の推進力となり、コンテンツの充実が図られ、その結果、利用者が増加するというプラスのループが発生するのに対し、利用者の減少がコンテンツの更新や充実の意欲や裏付けを弱くし、その結果、利用者離れを起こすという負のループの2つが存在することが明らかになった。そして、これらのループの相違によって、現状において、自治体が二分化されつつあることを明らかにした。 これらの研究成果は、社会情報学会全国大会において、「インターネット活用による地方自治体の情報受発信に関する基礎的研究」として発表した。 また、これらの研究結果も含めて、情報化の段階モデルに対応した計画支援システムの機能や能力が規定されることから、自治体における計画策定支援システムのコンセプトについて情報化の観点からまとめた結果を、熊田禎宣監修『公共システムの計画学』(技報堂出版、2000年3月)の第13章「インターネット時代の計画支援情報システム」として出版予定である。 現在、これまでの地域情報化の主要な柱であり、また今後の地域情報化プラットホームとして期待される地域CATVのインターネット接続サービスについて調査を行ない、自治体の情報化との関連について分析を行なっている。これらの調査は次年度も継続し、研究成果を学会等で発表する予定である。
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