研究概要 |
1970年代初頭,初めてプラズマが広くデバイス製造に使われて以来,プラズマを用いたデポジション及びエッチング技術は,電子デバイス製造に応用されることで急速に発展してきた。現在,プラズマプロセスの応用範囲は急速に拡大しており,しかも高度化している。そのため,これまでに予想されなかった問題点も顕在化している。そのような状況に対応するため,様々な新しいプラズマの利用法が模索されている。不活性ガスを用いたプラズマでは電子がプラズマを中性に保つ役目をするが,負イオンが存在するプラズマでは負イオンがその役目を果たす。したがって,これまで広く研究されているプラズマとは異なる振る舞いがある可能性があり,プラズマプロセスに応用するためにはこのプラズマの振る舞いを明らかにしなければならない。 本研究はレーザートムソン散乱法を活性ガス種のプラズマ計測に適用しようとするものである。レーザートムソン散乱法は,プラズマに擾乱を与えることなく電子諸量を正確に計測できる。この計測法を低密度プラズマや電気的負性ガス(electronegative gas)放電に適用するためにはレーザー解離の影響や,計測信号に対するプラズマからの背景光の評価などが必要となる。本研究では最適なレーザー光源や検出器を選択し,プラズマに擾乱を与えず高い測定精度でプラズマの電子諸量を計測できるシステムの構築を目的とする。 この目的に対して,本年度は以下の成果を得た。 (1)赤外線レーザーを用いたレーザートムソン散乱計測システムを開発した。(Jpn.J.Appl.Phys.,1999年8月。 (2)反応性プラズマ用のレーザートムソン散乱システムを確立した。この計測装置は低エネルギーレーザーとマルチパスセルを用いて,電子密度が10^<17>m^<-3>程度アルゴンを動作気体プラズマに応用できた(Plasma Sources.Sci.Technol,Vol.8,1999年5月)。
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