超伝導強トロイダル磁場実験装置TRIAM-1Mでは低密度低域混成波電流駆動(以下LHCDと記す)中でOH加熱時のイオン加熱効率を上回る高効率のイオン加熱が観測されている。イオン加熱が起こるとイオン温度に輸送障壁が形成される。この時の粒子の閉じ込め状態やプラズマ中に存在する波動を調べるために以下に示す実験を実施した。 1)7GHzから14GHzまで周波数可変のマイクロ波反射計を作製した。発振器はシンセサイザーを用い高電力アンプで最大10Wまで増幅した後、石英窓部にアンテナを設置してプラズマ中にマイクロ波を入射した。電子密度と電子密度揺動のデータを取得し、イオン温度に輸送障壁があるときには電子密度にも輸送障壁があることを確認した。 2)LHCD用のクライストロンを発振器として8.2GHz、100W程度のマイクロ波をプラズマ中に入射し、散乱計測を行ったところ散乱波は観測されなかった。 3)石英窓を通してプラズマ中から放射される電磁波動の観測を行った。2.45GHzのポンプ波以外に約400MHz離れた周波数に側波帯が観測された。イオン加熱が起こるとポンプ波、側波帯共にバンド幅が狭くなることが観測された。400MHzはイオンプラズマ振動数や低域混成共鳴振動数に相当する。 4)静電プローブでプラズマ周辺部の静電波動を調べたところ電磁波動と同様に2.45GHzのポンプ波以外に約400MHz離れた周波数に側波帯が観測された。 以上の観測から、プラズマ中心部で発生した約400MHzの低域混成波がイオンプラズマ波にモード変換してイオン加熱を起こしている可能性があることがわかった。
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