レーザー核融合に置ける燃料球には、1.低原子番号元素材料からなること2.真球性が高いこと3.壁厚が均一であることが求められ、これまで有機高分子で加工性に優れるポリスチレンによって以上3点の性能を有するターゲットが開発され実験に供されている。 一方で低原子番号元素材料である有機材料の分野では近年さまざまな機能材料(耐熱性、高弾性率、導電性等)が発見、開発されており、実用に供されているものも多い。 1.導電性材料、光電子材料ではキャリヤによるプラズマのためレーザー照射による不均一なダメージを抑制し、核融合反応に必要な高密度が期待される。有機太陽電池として知られるPV/H_2Pc積層薄膜をプラスチックにコートし、その反射スペクトルを初めて明らかにした。近赤外領域にPVまたはH_2Pc単層膜では見られない新しい反射域が確認された。光電子機能を精密構造化した効果と考えられ、レーザー核融合ターゲット化ターゲットに有用な機能を示している考えられる。 2.エマルジョン法によるポリスチレン燃料球の精密な真球性、均一性の発現機構はいまだ明らかでない。そこには、エマルジョン相間にごくわずかの密度不整合が存在することが、均一性向上に有用なことを理論的に明らかにした。 3.いわゆるフォームハイブリッド爆縮方式は流体不安定性を抑制すると期待されているが、その実験には低密度プラスチックをコートした燃料球が必要である。低密度プラスティックを通常のプラスチックにコートするような、球殻構造に精密化したターゲットを作成し、爆縮実験に供した。
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