準等磁場系配位に近い磁場配位が、ヘリカル軸ヘリオトロン[Heliotron J 装置(H-J)、京都大学エネルギー理工学研究所】配位として採用され、1999年に成功裏に実験を開始した。準等磁場配位は、磁場構造を2次元化(準対称化)するのではなく、3次元性を保ったままで粒子軌道閉じ込めを改善できる可能性があり、その他の物理特性(MHD、新古典輸送など)を最適化する自由度が高まる。ヘリカル軸ヘリオトロンの磁場構造において、平面軸ヘリオトロンとの大きな相違点として、バンピー磁場成分の存在が挙げられる。本年度は、準等磁場系配位におけるバンピー磁場成分と無衝突粒子軌道閉じ込めとの関連について、モデル磁場を用いて系統的に研究を展開した。磁場のヘリシティと逆符号のバンピー磁場成分を強めることにより、磁気面上での磁場極小の領域をトロイダル方向に局在化させることができる。この領域では磁場に深く捕捉された粒子が多く存在するが、バンピー磁場成分の径方向変化を強めることでポロイダルドリフトを促進させることができ、無衝突粒子軌道の閉じ込めが改善される。また、W7-Xにおける有限べ一タ平衡での顕著な無衝突粒子軌道閉じ込め改善(磁気井戸の促進による、トロイダル方向に局在化した磁場極小領域の形成と一様磁場成分の径方向変化によるポロイダルドリフト促進の結果)とこれまでに検討されてきているH-Jにおける有限ベータ平衡における弱い改善(上記に記したバンピー磁場成分の径方向変化によるポロイダルドリフト促進の効果と、一様磁場成分の径方向変化によるポロイダルドリフト促進とが互いに打ち消し合っている)とを比較検討することにより、H-Jでのさらなる無衝突粒子軌道閉じ込め改善への方策を示した。これは、バンピー磁場成分を有効に活用した新たな準等磁場概念の萌芽と捉えることができる。H-Jにおいては、バンピー磁場成分を外部コイル系によって制御する融通性が高く確保されており、実験によるこの概念の検証が期待される。
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