準等磁場の概念を用いたヘリカル系磁場配位最適化の理論研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11780360
• 研究機関: 核融合科学研究所
• 研究代表者: 横山 雅之 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (60290920)
• キーワード: ヘリカル系 / 準等磁場配位 / アルファ粒子閉じ込め / バンピー磁場 / ポロイダルドリフト

研究概要

W7-Xの有限ベータ平衡と準等磁場Quasi-isodynamic(QI)配位において、両者ともに、アルファ粒子の減速時間程度の間、アルファ粒子の損失がほとんどない、という結果が報告されている。W7-Xの有限ベータ配位では、真空配位と比べて一様磁場成分の径方向変化の増加(反磁性効果)が顕著であり、これが真空配位と比較してアルファ粒子閉じ込めが改善される大きな要因であると考えられる。これに対してQIでは、W7-Xの真空配位の磁場構造に新たなヘリシティが追加されている(アルファ粒子閉じ込め改善を目指した最適化の結果)。従って、この2つの配位(W7-X有限ベータ、QI)では、異なった方法によってアルファ粒子の良好な閉じ込めが実現されていることになる。上記の結果の物理的な理解を得るために「ポロイダルドリフト促進」の観点から両者を比較した。W7-X有限ベータ平衡では、ポロイダルドリフト促進は一様磁場成分の径方向変化によって実現されており、その効果は角度の依存性なく、すべての領域ですべての粒子に対して有効である。これに対してQIでは、新たに導入されたヘリシティB(1,-1)によって、径方向ドリフトが促進される領域でのポロイダルドリフトが効果的に促進されている。しかしB(1,-1)の角度依存性によって部分的にはポロイダルドリフトが弱められ、その領域では一方向の径方向ドリフトを長く受けて磁気面からの逸脱が大きくなることがありえる。これによってQIではプラズマ中心部で生成されたアルファ粒子は、減速時間の間、系外へは逃げないが、その磁気面からのずれはW7-X有限ベータ平衡に比べて大きくなりうる。従って、W7-Xの有限ベータにおける一様磁場成分の径方向変化によるポロイダルドリフト促進の結果としての閉じ込め改善のほうが魅力的である、と結論できる。

研究成果

• [文献書誌] H.Sanuki,K.Itoh,M.Yokoyama et al.,: "Possbility of Electric Field Bifurcation and Internal Transport Barrier Formation in LHD plasma"Journal of Physical Society of Japan. 69. 445-450 (2000)
• [文献書誌] Y.Sato,M.Yokoyama,M.Wakatani and V.D.Pustovitov: "Complete Suppression of Pfirsch-Schluter Current in a Toroidal L=3 Stellarator"NUCLEAR FUSION. 40. 1627-1633 (2000)
• [文献書誌] M.Wakatani,....M.Yokoyama et al.,: "Study of a Helical Axis Heliotron"NUCLEAR FUSION. 40. 569-573 (2000)
• [文献書誌] K.Ida,...M.Yokoyama et al.,: "Transition from Ion Root to Electron Root in NBI Heated Plasmas in LHD"NUCLEAR FUSION (18^<th> International Fusion Energy Conference). (受理済).
• [文献書誌] S.Okamura,...M.Yokoyama et al.,: "Physics and Engineering Design of a Low-Aspect-Ratio Quasi-Axisymmetric Stellarator, CHS-QA"NUCLEAR FUSION (18^<th> International Fusion Energy Conference). (受理済).
• [文献書誌] M.Yokoyama,K.Itoh,K.Nagasaki et al.,: "Confirmation of Theoretical Evaluation of Equilibrium Current in Helical Systems"NUCLEAR FUSION. 40. 1609-1616 (2000)
• [文献書誌] M.Yokoyama: "Poloidal Drift Enhancement for Improved Collisionless Particle Confinement in Stellarator Configurations in Quasi-isodynamic Category"NUCLEAR FUSION. (2001年第41巻2月号に掲載予定). (2001)