研究概要 |
平成12年度における本研究では、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)とコンパクトヘリカル装置(CHS)にて高速イオンの閉じ込め・損失を実験的に調べる事を行った。LHDにおいては、荷電交換高速中性粒子分析器としてコンパクトで取り扱いが比較的容易な半導体検出器(天然ダイヤモンド)を用い、イオンサイクロトロン加熱(ICRH)時にプラズマ中に生成される高エネルギー捕捉イオンのエネルギー分布の測定を行った。この計測により、ICRHは確かに高速イオンを生成している事が確認された。現在までに実験で観測されている高速イオンの最大エネルギーは約300keVである。高エネルギーテール成分のエネルギー分布の傾きから評価した実効温度の解析から、LHDにおける高速イオンの閉じ込め性能は良好で、顕著な損失がないことが示された。これらの結果については、2つの国際会議:1)第13回US Transport Task Force Meeting(H12.4.26-29、米国バーモント州バーリントン)、2)第13回High Temperature Plasma Diagnostics(H12.6.18-22、米国アリゾナ州ツーソン)において発表を行った。また論文(タイトル:Charge exchange neutral particle analysis with natural diamond detectors on LHD heliotron)は、Review of Scientific Instruments Vol.72,No.1 pp611-614に掲載された。CHSにおいては、ヘリカルリップル捕捉された後、軌道損失する高速イオンを、真空容器内の大半径方向内側において直接的に測定するシンチレータプローブの開発を行い、現在までに製作がほぼ終わった段階である。実際の実験への適用はH13年度に行う。
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