本研究は、集光太陽熱を化学エネルギー(化学燃料:COおよびH_2)への高効率で転換する石炭のソーラーガス化システムを構築することを目的として、太陽光石炭ガス化触媒の開発を行うものである。ZnO、In_2O_3触媒は高温(1000-1300℃)でZn(g)、In_2O(g)として石炭灰から気化分離・回収することが期待でき、ソーラーガス化触媒として有望である。本年度は石炭のCO_2ガス化[CH_n (石炭)+CO_2→2CO+n/2H_2]に対するZnO、In_2O_3触媒の活性を調査し、以下の成果を得た。 1.赤外線照射による小型流動床システムでガス化反応を速度論的に解析した。反応温度900℃では速度定数がZnOで3倍、In_2O_3で7倍に増大することが見出された。In_2O_3は非常に低温まで触媒活性を示すのに対し、ZnOが触媒活性を示すのは850℃以上であることが分かった。 2.集光キセノン光による太陽光シュミレータ反応装置を用いて、ソーラーガス化反応を固定床システムで検討した。照射エネルギー250-600kW/m^2の模擬太陽光(集光度250-600の太陽光に匹敵)に対して石炭のガス化速度が、ZnO、In_2O_3触媒を用いると2-4倍に向上し、太陽光照射でも触媒効果が発揮されることが確認された。上記1の結果と比較すると、活性が非常に高いIn_2O_3では固定床よりも熱伝導、物質移動の有利な流動床システムの方が、高い触媒効果が得られることが見出された。
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