研究概要 |
本研究は,平成9年度から10年度に実施した科学研究費奨励研究(A)「開発による健康への影響に関する数理モデルの一般化とその日本の一地域への適用}(研究代表者:中澤 港,課題番号:09780489)において開発したシミュレーションモデルを発展させ,現在,多面的な予測が必要とされている開発問題である東京湾三番瀬の埋め立て計画の影響を評価することを目的としたものである。 これまでに木更津周辺と館山周辺採取してきた水サンプルのデータと,文献資料,千葉県による環境影響予測データを,個人レベルの機会的な故障蓄積に応じて死亡への雪崩がある確率で起こり,その確率がこれらのデータによって与えられる環境に依存して変化するように設定したモデルに組み込むことを実現した。さらに,漁業従事者の調査に着手し,環境変化がどのようにヒトの生存に影響するかという点についてのデータ収集を開始した。しかし,まだモデル自体の感度分析が途中であり,実際の予測は行っていない。これは,高速なシミュレーションのための技術そのものが一般的でないため,ソフトウェア面で独自の開発を行う必要があったことも一因であるが,データの量が多く,また質的,量的に水準がバラバラであるため,同一のモデル上で扱えるようにすることが困難だったためである。今年度の研究においてこの問題は解決される見通しがたったので,来年度,実際の予測を行う予定である。
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