最終処分場による環境汚染への懸念から、最終処分場の建設が困難な状況にある。特に、平成10年3月に厚生省より発表された不適正最終処分場に対して、適切な調査を行い、必要であれば適性化対策を施すことが、今後の新規最終処分場を建設する上でも重要である。また新規最終処分場建設の際の地下水汚染等の生活環境アセスメントを行う必要性が指摘されている。そこで本研究は、これら最終処分場からの地下水汚染を評価し、そして適正な汚染防止対策及び修復対策を行う上での意思決定を支援するツールの一つとして数値シミュレーション技術の開発を行うこととした。 今年度は、現実に近い地質モデル上に仮想的な遮水シートの無い不適性な最終処分場を想定して、実際に数値シミュレーションを用いて汚染拡散解析、及び適性化対策効果予測を行った。また、最終処分場には様々な化学物質が存在しており、汚染拡散傾向も異なるはずである。それら汚染物質特性(吸着、微生物分解)を考慮した場合の汚染拡散の違い、また適性化対策の違いに関して考察を行った。その結果、微生物分解に関しては不確定な要素が大きく、汚染評果段階で微生物分解を考慮し、解析を行うべきではないこと、正確な汚染評価を行うためにはまず最終処分場周辺の地下水流れ場を正確に把握した上で、汚染物質の吸着特性を考慮し解析を行う必要のあることが分かった。特に吸着を考慮せずに汚染修復対策(例えば、遮水壁や地下水揚水などの対策)の選択を数値シミュレーションによって行うと、過剰な対策になってしまう危険性のあることを示した。
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