研究概要 |
有害な芳香族有機塩素化合物をクローズド処理する方法として水熱分解法が注目されており、その反応性に関する知見が重要となっている。ここでは、高温高圧セルを用いて高温水溶液におけるクロロフェノールのUV-vis吸収スペクトルをその場測定し、高温水溶液中におけるクロロフェノールの解離反応のpH依存性について検討した。 温度調節器付恒温装置を内蔵させた紫外-可視分光光度計(日本分光V-570)内に直径15mm、厚さ10mmの石英を窓材料に用いたSUS316製高温高圧セルを入れ吸光度を測定した。 クロロフェノールは弱酸であり、水溶液中で酸解離し、(Ph-OH=Ph-O-+H+)する。フェノール基のプロトンが未解離の場合(Ph-OH)215,275nmに、解離した場合(Ph-O-)に238,293nmに吸収のピークをもつ。そこで各温度におけるpH5.9,12.4におけるスペクトルをPh-OH,Ph-O-型のスペクトルとしてその中間のpHにおける吸収スペクトルを2つの合成スペクトルとみなし、分解スペクトルをもとめPh-OH/Ph-O-の吸光度比により各温度における解離定数を計算した。温度が上昇するとPh-OH/Ph-O-の吸光度は低下し、解離定数が小さくなり、酸解離反応のエンタルピーが負であることがわかった。また、水の解離定数を考慮にいれたクロロフェノールの酸解離定数のアレニウスプロットはよい直線性を示した。
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