研究概要 |
前年度、Rhodococcus sp.AN-22の構成的に発現するcatechol 1,2-dioxygenase遺伝子(catA)の上流で見いだした6つのORFのオペロン構造を解析したところ、これらの遺伝子はORF1と2からなるオペロンと、ORF3〜6、さらにcatAを含むオペロンから構成されていた。 一方、本菌の抗生物質感受性を調べたところ、本菌はカナマイシンに対して感受性を示し、本菌を宿主菌として用いる場合にカナマイシン耐性を選択マーカにすることにした。次に、本菌でのカナマイシン耐性遺伝子の発現を確認するために、大腸菌-Rhodococcusシャトルベクターを構築し、エレクトロポレーションにより本菌を形質転換したところ、カナマイシン耐性を獲得した形質転換株が得られ、今回用いたカナマイシン耐性遺伝子が本菌で発現することを確認した。さらに、大腸菌のベクターであるpBluescriptに、本菌の構成的に発現するプロモーター領域とカナマイシン耐性遺伝子を挿入した相同組換えのためのプラスミドを構築し、本菌を形質転換したところ、カナマイシン耐性を示す形質転換株が得られた。得られた形質転換株の保持するプラスミドを分析したところ、プラスミドを保持する菌株はみられず、導入したプラスミドが相同組換えによって本菌のクロモゾームDNA内に組み込まれていることが示唆された。相同組換えを起こしたと考えられる菌株のトータルDNAを、カナマイシン耐性遺伝子および本菌の構成的に発現するプロモーター領域をプローブとするサザンハイブリダイゼーションにより解析したところ、導入したプラスミドDNAが、本菌のクロモゾームDNA内に組み込まれていることが明らかとなった。
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