1-(1)渓流に生息するシマアメンボ成虫の標識虫再捕獲を全長70mの水路で実施し、本種無翅型は定住性が高く移動性の低いことが判明した(上流方向5%、下流方向15%程度の移動)。 1-(2)本種では、外部形態の多変量解析によって異なる河川間の局所集団判別が可能であった。 1-(3)以上のことから、シマアメンボは上流方向への運動を行っており、その移動距離は短く、各集団が遺伝的に異なる集団に分化している可能性が高いと考えた。 1-(4)シマアメンボのエステラーゼザイモグラム検出に成功した。 1-(5)シマアメンボのDNAを増幅可能なプライマーを設計した。 2-(1)伊万里湾において3種の沿岸性アメンボの生息を確認した。(レッドデータブック記載種を含む)。 3-(1)和歌山県未記録の水生半翅類昆虫(地方天然記念物、地方レッドデータブック記載種)を当地で発見し、その生息環境を水象・土壌・気象・植生の観点から解析して新たな生息場所を試験的に創出した。また、既往2地域個体群との外部形態の比較を行い、和歌山県個体群に特有の形質状態のないことを確認した。 4-(1)水辺の緑地に生息するアザミウマの1種について、色彩および翅長の変異の実態およびその関連性、ならびに変異パタンの季節的変化を解析した。その結果、色彩型によって相対的な翅長の平均値に差異のあることが判明した。ただし、色彩および翅長の変異に明確な季節的変化は認められなかったため、本種の物理的移動(翅長が反映)能力の有無には、温度や日長が甚大な影響を及ぼさないことが示唆された。
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