Micrococcus luteus B-P26のウンデカプレニル二リン酸合成酵素を大腸菌中に大量発現させる系を構築し、酵素を大量に精製して、結晶化することに成功した。X線回折による高次構造解析を行い、現在、この酵素のX線結晶構造の解析をほぼ完了した。各サブユニットは10本のα-ヘリックスと6本のβ-シートから成っており、トランス鎖延長酵素に保存されている5つの領域はこの酵素の一つのキャビティーの周りに存在することが判明した。 この酵素の触媒機構を解明するために、まず、Error Prone PCR Random Mutagenesisを行い、酵素活性が非常に低いクローンが13個得られた。DNA配列を分析した結果、1残基のみで置換された変異体はN77SとW78Rであることが分かった。さらに77位と78位について、部位特異的変異を導入し、反応速度論の解析を行った。その結果、77位の変異体はアリル性基質に対するKmが野生型酵素と変化していないが、Vmaxが野生型酵素に比べると、大きく低下した。また、78位については特にFPPに対して、シスのGGPPより、KmとVmax両方とも大きな変化が認められた。これらの結果は77位のAsnがアリル性気質の二リン酸部分に作用し、直接に触媒機能に関与していること、78位のTrpが気質の疎水性プレニル鎖の結合に参与することを示した。今のところに、基質の二リン酸の結合部位と思われる保存領域IIとIVに部位特異的変異導入による解析及びこの酵素のphotoaffinity labelingを行っている。
|