研究概要 |
ケンプのトリアシッドを出発原料として、4-アミノピリジンを脱水縮合させイミド体を得た。残ったカルボン酸部分には、グリシン、グリシン誘導体、ヘキシルアミン誘導体等を結合させた。更に、発色団部分を明確にするために、ピリジン環をメチル化し、吸光係数を増大させると同時に、吸収波長を長波長シフトさせた。次に、これらの化合物の吸収波長のpHによる変化を追跡した。しかし、メチル化されたピリジン環部分はアルカリ性で容易に水又はアルコール分子の求核攻撃を受け、これらの発色団部分が分解されることが判明した。 そこで、発色団部分の再検討を行った。4-メトキシカルボニルフェニルアミン、4-メトキシフェニルアミン、3,5-ジメトキシフェニルアミン、4-メチルチオフェニルアミンをグルタミン酸無水物と脱水縮合させ、各々のイミド誘導体を得た。更に、長波長シフトした発色団の合成を目指し、種々のニトリフェニルアミン誘導体のグルタミン酸無水化物との脱水縮合反応を試みたが、ニトロ基の強い電子吸引性のため、イミド体を得ることは出来なかった。合成されたイミド誘導体の吸収波長はそれぞれ、233,224,281と276,259nmであった。このうち、比較的長波長側に強い吸収を持つ、4-メチルチオフェニルイミド誘導体を発色団として採用することにした。
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