研究概要 |
核酸のマイナーグルーブ中に機能性基を導入し、その核酸高次構造に及ぼす影響についての検討ならびに新規な機能性核酸の創製を目的として、ヌクレオシド糖部2'位に置換基を持ったオリゴヌクレオチド(ODN)の合成方法の開発を行った。 ヌクレオシド糖部2'位に、置換活性をもつメチルエステルを導入するために、2,2'-アンヒドロウリジン(1)とメチルメルカプトプロピオン酸を反応させたが、反応しなかったため、2'-メルカプトウリジン(2)を経由して合成を行った。すなわち、1から文献既知の方法により合成した2とブロモ酢酸メチルとを反応させることにより、収率71%で2'位に特異的にメチルエステルをもつヌクレオシド誘導体(3)を合成できた。本反応では、塩基部N^3位へのアルキル化も観測されたが、反応条件を検討することにより副反応を低減させることが可能であった。ここで合成したヌクレオシド3はODNに組み込んだ後、アミン交換反応により、種々の置換基を導入する予定であるのでそのアミンとの反応性についてヌクレオシドレベルで検討した。その結果、アンモニア、モノアミン(ヘプチルアミン)、ジアミン(エチレンジアミン)、トリスアミン(トリス(2-アミノエチルアミン))と室温で速やかに反応し、ほぼ単一に目的生成物を得た。そこで、ヌクレオシド3の5'水酸基の保護と3'ホスホロアミダイト化を行い、DNA固相合成法でオリゴヌクレオチドに組み込み、担体上でアミンとの反応を行った。その結果、目的とする2'位置換ヌクレオシドを任意の位置に組み込んだODNを得ることができた。予備的に、アミンとしてアンモニアならびにトリス(2-アミノエチルアミン)を導入したODNのDNAとの二重鎖安定性を調べた結果、修飾ODNは未修飾ODNに比べて不安定化することが判った。
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