1 励起エネルギー供与体/受容体や電荷分離体として機能可能な色素のチューブリンへの修飾、ならびにそれらの色素間のエネルギー伝達機能の検討 (1)電荷分離可能な分子(光電変換分子)の合成:チューブリン表面に複数存在するリジン残基への修飾を企図し、スクシンイミドエステルをもつクロロフィル誘導体を初めて合成した。ホウレンソウより抽出したクロロフィルaを脱金属した後、17位のプロピオン酸部位をヒドロキシスクシンイミドを用いてエステル化した。 (2)微小管上でのエネルギー移動の検討:テトラメチルローダミンとオレゴングリーンを修飾したチューブリンから調整した微小管で、サブユニット間でのエネルギー移動を強く示唆する結果を得ている。これまでは微小管溶液の蛍光を液膜状態で測定していたが、今後はより妨害の少ない希薄溶液状態で測定する。また、高効率のエネルギー移動を可能にする蛍光色素としてはBODIPYやクマリン誘導体も有望なようであり、これらの修飾位置(アミノ酸残基)を含めて、引き続き最適な組み合わせを検討していく予定である。 2 光合成モデル系の構築 光電変換分子(上記)の合成が出来たところであり、光合成モデル系の構築には至っていない。 3その他 (1)タバコモザイクウイルスの入手に目処がたった。平成12年度はチューブリンだけでなくタバコモザイクウイルスを用いて、光合成モデル系ならびに一連の酵素を修飾した人工蛋白質複合体の構築を目指す予定である。 (2)自己会合して繊維状の会合体を構成するようなデンドリマー(人工チューブリン)の合成を目指している。これまでに、それぞれ親水性・疎水性・水素結合性・修飾部位をもつデンドロンを合成することが出来た。今後はこれらを用いてデンドリマーを合成し、その自己会合挙動を検討する予定である。
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