研究概要 |
海洋性細菌Vibrio alginolyticusの極毛はNa+駆動型のモーターで回転し、そのトルク発生に必須な4種類(pomA,pomB,motX,motY)の遺伝子が同定されてきている。これらは細胞質膜で、Na+チャネルを形成していると考えられているが、これまでのところその直接的な証拠は得られていない。本研究では、これらNa+駆動型べん毛モーターのトルク発生ユニットの精製、およびプロテオリポソームへの機能的再構成を試みた。 His_6-PomAを発現させた菌体から内膜を調製し、オクチルグルコシドで可溶化後、Ni^<2+>-NTAカラム、イオン交換カラム、ゲル濾過カラムによりHis_6-PomAを含む複合体を精製した。その結果、His_6-PomAを含む複合体にはPomBは含まれていたが、同じくトルク発生に必須な因子MotX,MotYは含まれていなかった。また、複合体中の各因子のストイキオメトリはモル比で2PomA/1PomBであり、複合体の分子量から4PomA/2PomBで一つのトルク発生ユニットを形成していると考えられる。精製したPomA/B複合体は大腸菌リン脂質を用いて希釈法によりプロテオリポソームに再構成することができた。このときほとんどのPomBのC末端は外側に配向していることがプロテアーゼの感受性から示唆された。さらに再構成したPomA/B複合体はNa+チャネル活性を示した。
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