研究概要 |
本年度の研究行なった。具体的には以下の示す。 1)線虫V-ATPase変異体の構築 本年度は、V-ATPase遺伝子(vha-1-vha-4,vha-11)の欠損変異体の構築を目指すために。まず2本鎖RNA(dsRNA)を用いたRNA interference法により一時的にvha遺伝子の発現を遮断し、目的とする欠損変異体の表現型を解析した。vha-11遺伝子の遺伝子のdsRNAを成虫に導入することにより、その子孫の卵のふ化膣が劇的に減少したことから、V-ATPaseが線虫の初期発生に重要な役割を狙っていることが示唆された。また、膜貫通サブユニット遺伝子であるvha-1やvha-2遺伝子のdsRNAを導入すると、ふ化率の低下ではなく受精卵そのものが形成されなくなった。その原因としては、卵子の成熟が顕著に阻害されていることがDAPI染色などから推定された。現在はこれらのサブユニット遺伝子間での表現型の違いについて検討中である。 2)線虫V-ATPaseの活性測定 活性測定に用いるV-ATPaseが多く含まれる分泌小砲を調製するため、分泌小砲の膜タンパク質であるSyntaptobrevin/SNB-1を用いて分泌小砲の濃縮、単離を行った。線虫SNB-1タンパク質のアミノ末端に、protein AのZ domainを導入した融合タンパク質を線虫で発現させ、この融合タンパク質が分泌小砲に正しく運ばれていることを、snb-I変異体の相補能にと蛍光抗体法により確認した。Protein AのZ domainは、IgGに高い親和性を持つため、線虫総膜画分より分泌小砲をIgGカラムを用いて濃縮、精製することが出来ると考え、この融合タンパク質を発現した線虫を液体培養により大量に調整し、破砕後その膜画分を調製した。現在は、IgGカラムによる分泌小胞の分離を試みている。
|