(1)DDによる含イノシンRNA候補の検出 マウス脳より抽出したmRNAに対して、グアニン特異的に保護基を導入したのち、RNaseT1を作用させることにより含イノシンRNAのイノシンの位置で特異的に切断した。RNaseT1処理後および未処理のサンプルについて、20種類の任意配列10merオリゴヌクレオチドを用いてDDを行った。その結果、現在までに、RNaseT1未処理サンプルの方が濃いバンド30サンプルを含イノシンRNAの増幅産物の候補としてゲルよりDNAを回収し、うち19サンプルについてDNAシーケンサを用いて塩基配列を決定した。DNA配列データベースに対してホモロジー検索を行った結果、既知のタンパク質をコードしているmRNA合致したのは以下の7サンプルであった。 (1)CDRR1 (2)SC2(神経特異的糖タンパク質) (3)calcineurinA (4)OSBP(オキシステロール結合タンパク質) (5)stearoyl-CoA desaturase (6)ApoE(アポリポプロテインE) (7)NP25(神経特異的タンパク質) 今後、候補となった上記の配列を元のmRNAサンプルから直接RT-PCRにより増幅後、塩基配列を決定することにより、エディティングを証明し、その部位を明らかにする予定である。 (2)新しい検出法の考案 上述の方法では、(1)mRNAの3'末近傍に生じたエディティングしか検出できない、(2)バンドパターンの差異に着目するためイノシンの存在を積極的に検出できる方法ではない、という問題点がある。現在、イノシンを含むmRNAの配列のみを効率良く増幅・検出できる新しい方法を考案・試行中である。
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