研究概要 |
哺乳類細胞の複製開始機構を分子のレベルで明らかにするために、DNAポリメラーゼα/プライマーゼ複合体(Pol.α)を標的とし、Pol.αとの分子間相互作用を指標にしたトランス因子の同定を試みた。その第一歩として、他の蛋白質間相互作用を取り持つ窓ロとなるドメインを同定するために、4つのサブユニットからなる複合体の分子構築の解明に取り組んだ。動物培養細胞を用いたcDNA発現系を確立し、3つ或いは4つのサブユニットを同時に細胞内で発現させ、in vivoでsubcomplexを再構築することに成功した。その結果、触媒サブユニットであるp180のドメイン構造と、4つのサブユニットの分子構築モデルを提示するに至った。即ち、p180は3つのドメインに分割され、中央のcore領域(アミノ酸330-1279)がポリメラーゼ触媒活性に必要十分な最小領域であること、C末領域(アミノ酸1280-1465)はサブユニット間相互作用を担うドメインであること、他の複製因子との相互作用はN末領域によることが示された。以上の分子構築モデルに基づき、p180のN末端,p68のN末端,及びp46全長に焦点を絞り、相互作用する分子の検索に取り掛かった。現在、酵母two-hybrid系による解析を試み、その予備実験として各ドメインがbaitとして適しているか、ポジティブコントロールとして利用できる分子は何が適しているか、等を検討している最中である。
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