経済産業省産業技術総合研究所電子技術総合研究所と共同で、電子顕微鏡画像の単分子構造解析を行い蛋白質分子の3次元密度マップを再構築するコンピュータアプリケーションを作成し、電圧感受性ナトリウムチャネル蛋白質極低温電子顕微鏡画像の単分子構造解析を実施した。 画像処理により劣悪なS/N比を持つ画像のコントラスト調整を行い、電子顕微鏡画像及び蛋白質粒子が存在する位置をコンピュータディスプレイ上に表示した上で、オペレータのマウス操作により蛋白質粒子を拾い上げる「蛋白質単分子拾い上げソフトウエア」を開発したのを始め、蛋白質単分子像をグループ化、平均化して、見かけ上のS/N比の良い蛋白質分子の透過像のセットを作成し、さらに各透過像がどの方向から蛋白質分子を透過したものなのかを最適推定するためのコンピュータアプリケーション群を作成した。このアプリケーション群の実行には多大な計算機資源を必要とするが、このために、高速浮動小数点演算が可能であるアルファチップ搭載型ワークステーションを複数導入し、ワークステーションクラスタとして稼働させた。 約2万個の電圧感受性ナトリウムイオンチャンネル蛋白質単分子像をグループ化、平均化して得られたS/N比の良い蛋白質透過像を使って、それらの透過オイラー角推定を行い、さらに蛋白質透過像のバックプロジェクション計算を行う事によって、電圧感受性ナトリウムチャネル蛋白質の3次元密度マップを作成した。
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