本年度は、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンにおいて、(1)それぞれのイオンがいくつのモジュールに配位するのか、および(2)それぞれのイオンの配位部位に類似のモジュールが存在するのかを調べた。立体構造の情報のみから配位子を決定するために、原子間距離情報のみを用いる方法を開発した。金属イオンと、酸素、窒素またはイオウ原子との距離が、両原子の原子半径の和以下になっている場合は、それらの原子が実験によって配位が確かめられている場合が多いことがわかった。この方法を用いて、立体構造が判明しているタンパク質において、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンの配位子残基をすべて決定することができた。(1)配位子とモジュールとの関係を調べたところ、どちらの金属イオンにおいても、約80%の場合は配位子がひとつないしはふたつのモジュールに局在していることがわかった。マグネシウムイオン配位モジュールおよびカルシウムイオン配位モジュールが存在することがわかった。(2)マグエシウムイオン配位モジュールおよびカルシウムイオン配位モジュールを立体構造の類似性に基づいて分類したところ、どちらのモジュールにおいてもいくつかの構造類似のグループができることがわかった。つまりそれぞれの金属イオンにおいて、立体構造類似のモジュールがイオンに配位することがわかった。平成12年度には、(2)の詳細、特に配位様式まで類似なのかを調べる。同時に亜鉛、鉄、および銅イオンにおいても(1)および(2)の解析を行う。
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