研究概要 |
CK2は真核生物の細胞質及び核に存在するSer/Thr蛋白キナーゼである。ホロ酵素は触媒サブユニットであるαと制御サブユニットであるβのヘテロ四量体からなっている。本研究ではArabidopsis由来のCKA1(αサブユニット)とCKB1(βサブユニット)を用い構造的研究に着手した。CKA1は菌体4gから4mgの精製品を得ることができたが、CKB1は破砕直後の不溶化や濃縮が困難などの問題点が生じた。そこで溶液中で両者が複合体を形成する性質を利用して菌体破砕時から混合して精製することにした。Niキレート、陰イオン交換、ゲル濾過の各カラムクロマトグラフィーによって精製し、菌体20gから22mgの精製品を得ることができた。この精製標品を用いてマイクロバッチ並びにハンギングドロップ法で結晶化条件の探索を行ったところ、Hexandiol,PEG200を沈殿剤として用いたとき酸性条件下(pH4-5)で八面体結晶が得られた。この結晶を種結晶としてミクロシーディング、マクロシーディングにより最大0.2mmの結晶を得ることができた。 一方、結晶のSDS-PAGEの結果からホロ酵素ではなくCKB1単独のものであることが判明した。そこで塩強度やpHの変化によるCK2のサブユニット間の会合状態を調べたところ、酸性側のpHではサブユニットは解離状態になることや低イオン強度では溶解度が下がり沈殿してしまうなどの知見を得ることができた。このことをふまえ現在は中性以上での結晶化条件の探索を行っている。
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