研究概要 |
本研究は退縮中の尾の細胞死においてbidが細胞死誘導活性を持ち、bcl-XLがこれを阻害するのか、それともbcl-XLと結合している他の細胞死誘導因子があり、bidがこれを遊離させることが細胞死に重要なのかを研究することを目的とし、以下の実験を行った。同時に、ホ乳類において細胞死に関与していると考えられているCaspase familyが尾の退縮に関与しているか否かを検討した。 1.bcl-XL,bidのGSTとの融合タンパクを合成し、binding assayを行ったところ、これらの結合がtwo-hybrid assayのみで見られるものではなく、binding assayにおいても確認された。しかもこの結合はホ乳類で知られているのと同様にfull lengthのbidでは観察されず、N末を削除したbidのみで見られた。 2.in vivo,in vitroのアッセイ系を用いてXenopus bidの細胞死誘導活性を調べたところ、N末を削除したbidにはこの活性が見られたが、full lengthのbidにはこの活性が見られなかった。またこの活性は培養細胞(in vitro)においてきわめて強力であった。 3.Northern blot analysisによって、bidのmRNAの変態期の発現量を測定したところ、変態期の尾において発現量の増加が見られた。しかし、発現量・増加量ともに劇的なものではなかった。 4.以前我々がクローニングしたXenopus Caspases-1,3に加え、Xenopus Caspases-2,6,7,8,9,10をクローニングし、これらの発現・細胞死誘導活性・細胞死における活性化を検討した。この結果、Caspases-2,8,9,10などの長いProdomainを持つものを強制発現させると培養細胞に細胞死を引き起こすこと、甲状腺ホルモンによる細胞死ではCaspaseの新たなmRNAの合成は必要ではないことが判明した。
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