サイトソルの分子シャペロンであるhsc70は、パートナーシャペロンとしてDnaJホモログを必要とする。哺乳類のサイトソルにはdj2(HSDJ/hdj-2/mdj2/rdj-1)、dj1(hsp-40/hdj-1)が存在するが、3つめのDnaJホモログdj3(DNJ3/CPR3/rdj-2)も存在する。一方、RAP46/bag1-Mは真核生物のGrpEホモログと考えられている。本年度、代表者はdj3とbag1を含めた生化学的解析と細胞生物学的解析を行った(投稿中)。 1.hsc70-dj1系、hsc70-dj2系、hsc70-dj3系、によるATPase活性の測定を行い、いずれのDnaJのホモログによってもhsc70のATPase活性の最大がみられ、bag1の添加によってさらなる増大が見られることを明らかにした。 2.dj1、dj2、dj3のHeLa細胞内における分布を間接蛍光抗体法によって調べた。dj1は核を中心に存在し、dj2とdj3はサイトソルを中心に存在していた。また、熱ストレスによって細胞内分布の変化が見られた。 3.抗体レジンを用いたdepletion-readdition系をdj3について確立した。その結果、dj3はdj2と同じレベルで細胞内に存在し、同時に除去されるとミトコンドリア輸送とルシフェラーゼの巻き戻しが低下し、いずれか一方の再添加によって回復した。したがってdj2とdj3は機能的に等価であることが明らかとなった。
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