小胞輸送因子p115はゴルジ装置の層板間輸送に必須な因子として見いだされた、細胞質とゴルジ装置に分布する可溶性たんぱく質で、p115のゴルジ膜への結合と解離が、p115C末端酸性領域のSer^<942>のリン酸化一脱リン酸化により制御されていることが明らかになっている。p115をリン酸化する酵素の解析について、途中経過を報告する。 1)抗p115リン酸化ペプチド抗体の作成を試みたが、リン酸化型と非リン酸化型を識別できる抗体は得られなかった。抗原に用いたペプチドの長さ、免疫方法などについて検討中である。 2)ゴルジ膜を1M KC1、1%TX-100で処理し、抽出液のp115リン酸化活性を検討したところ、両抽出液ともにリン酸化活性が認められ、リン酸化酵素はp115と同様にゴルジ膜にペリフェラルに結合していることがわかった。P115C-末端酸性領域にある2つのSer残基のうちSer^<952>よりSer^<942>が優位にリン酸化されることがわかっているが、p115C-末端酸性領域のみを基質にした場合、両方が同程度リン酸化を受けており、p115C-末端酸性領域より上流の領域が基質としての特異性を決めていることが推測された。 3)リン酸化部位を含むp115C-末端酸性領域をbaitにして、two-hybrid法によるp115結合蛋白質のスクリーニングが可能か否か検討した。GAL4 system、LexA system、SOS-Ras systemの3つのtwo hybrid systemについて各々数種類のbaitを試したところ、SOS-Ras systemでスクリーニング可能であることがわかった。現在、スクリーニングを行っている。
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