1.メダカ視細胞特異的グアニル酸シクラーゼ遺伝子の発現様式の解析:3つの視細胞特異的グアニル酸シクラーゼ遺伝子O1GC3、O1GC4、O1GC5遺伝子の胚における発現をin situハイブリダイゼーションにより詳細に調べた。O1GC4は網膜視細胞と松果体に加え、鼻の嗅細胞でも発現することが新たに判明した。またO1GC4の松果体での発現は、網膜での発現よりも2日以上早く始まることが明らかになった。 2.メダカ視細胞特異的グアニル酸シクラーゼ遺伝子の構造解析:O1GC3とO1GC4の上流領域を含むゲノムDNAクローンの塩基配列を決定した。両遺伝子の5'非翻訳領域には、それぞれイントロンが一つ存在していた。両遺伝子近傍の塩基配列について、既知の転写因子の結合配列を検索したところ、Otxファミリーのホメオドメインタンパク質やbHLH型転写因子の結合コンセンサス配列が見い出された。 3.メダカ視細胞特異的グアニル酸シクラーゼ遺伝子の転写調節領域の機能解析:O1GC3とO1GC4の遺伝子上流領域にレポーター遺伝子をつないだ融合遺伝子を作製し、メダカ卵に顕微注入して、レポーター遺伝子の発現を調べることにより上流領域の機能を解析した。上流領域を段階的に5'側から削ることにより、O1GC3については転写開始点の上流約0.4kb、O1GC4では転写開始点の上流約2.4kbの領域がそれぞれの遺伝子の感覚細胞特異的発現に十分であることが分かった。一方で、より上流の領域にも転写を活性化するシス調節配列が存在することも示唆された。O1GC4の上流を約1.2kbまで削ると、嗅細胞での発現はみられなかったが、網膜と松果体では発現した。以上の結果から、O1GC3とO1GC4の3種類の異なる感覚細胞(視細胞、松果体細胞、嗅細胞)における発現には、複数の転写因子の異なる組み合わせが重要であると推測された。
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