CaMkinaseIVの活性制御機構と神経機能との関わりを探る目的で、本年度は以下の研究を行った。 1:CaMkinaseIVと脱リン酸化酵素の作用に関する定量的解析 (1)CaMkinaseIVと脱リン酸化酵素の作用について、試験管内で検討した。ラット海馬抽出液中ではprotein phosphatase(PP)2Aによる脱リン酸化酵素が最も強く、続いてPP2B、PP2C、PP1の順であった。 (2)CaMkinaseIVのdeletion mutantsをPCR法を用いて4種類作成した。現在これらの発現や活性を確認している。今後、脱リン酸化酵素との作用部位などの検討を更に進める。 (3)CaMkinaseIVと脱リン酸化酵素の神経細胞内での作用について、免疫染色法よって検討した。その結果PP2AとCaMkinaseIVとの共存が認められたが、PP2Bは通常の状態では共存は認められなかった。PP2Bの核移行が他のグループから報告されており、刺激に伴ってPP2BとCaMkinaseIVが作用する可能性が考えられ、現在検討中である。 2:海馬長期増強(LTP)におけるCaMkinaseIVの活性とリン酸化反応の検討 (1)ラット海馬スライスCA1領域において100Hz1秒2回の高頻度刺激によってLTPを誘導した。CaMkinaseIV活性化反応とリン酸化反応の時間経過をについて知見が得られ、更に基質のリン酸化反応やその薬理学的特性を検討している。 3:ラット培養海馬神経細胞におけるCaMkinaseIVの活性化反応とその薬理学的特性の検討 培養海馬神経細胞において、CaMkinaseIVはグルタミン酸刺激や高カリウム脱分極刺激でリン酸化反応と活性が上昇するが、それらの薬理学的特性を検討し、論文にまとめた。
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