研究概要 |
(1)成長円錐の退縮作用に対する種々のチロシンキナーゼ/チロシンホスファターゼ阻害剤の効果 ニワトリ胚後根神経節培養系において、チロシンホスファターゼ阻害剤 bpV(phen)(100μM)は単独で成長円錐の退縮を引き起こした(Sasaki et al...,1999)。一方、単独無作用濃度のチロシンキナーゼ阻害剤ラベンダスチンA(0.3-10μM)はSema3A(旧名コラプシン-1)による成長円錐の退縮を濃度依存的に抑制した。別種のチロシンキナーゼ阻害剤ゲニスタイン(1-100 μM)は同応答に対する抑制効果を示さなかったことにより、ラベンダスチンA感受性チロシンキナーゼの関与が示唆される。 (2)退縮応答に伴う成長円錐・軸索タンパク質のチロシンリン酸化の検討 bpV(phen)を投与した後根神経節成長円錐において、多数のタンパク質のチロシンリン酸化が著しく亢進していた(佐々木ら,未発表データ)。Sema3A刺激後ではある特定のタンパク質のチロシンリン酸化のみがわずかに増加しているのが観察された。 (3)培養細胞を用いたSema3A誘導形態変化 assay 系の構築 Sema3A受容体複合体プレキシン及びニューロピリンのcDNAを導入したCOS-7細胞、sema3A刺激により、あたかも成長円錐の退縮応答のように細胞全体が縮小した(佐々木ら,未発表データ)。同応答は後根神経節を退縮させるのと同じ濃度範囲で引き起こされ、成長円錐退縮応答のモデル系となりうることが示唆される。今後、この系を用いてsema3A刺激に伴う形態変化とチロシンリン酸化の相関を解析する予定である。
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