脳内CYP2Dの発現解明 1.ラット、サルの脳の部位ごとに分け、以下の検討を行った 1.mRNAの検出 全脳を摘出後、前頭葉大脳皮質、線状体、海馬、中脳、延髄を部分的に取り出した。これらの組織各部位からmRNAを抽出後、CYP2Dの特異的プライマーを用いてRT-PCRを行い、各部位ごとのCYP2DmRNA発現の有無を調べた。結果、ラット、サル両動物でも、ドパミン神経細胞を含む線状体、中脳を含めたすべての部位で、CYP2DmRNAを検出することができた。 2.代謝活性の測定 脳組織のミクロゾーム又は、ホモジネートを用い、CYP2Dの代謝活性の測定を行った。用いたCYP2Dの基質は、従来のCYP2Dの基質のうち検出感度の高いブフラロールを選択した。結果、脳組織ミクロゾーム、ホモジネートともに、CYP2D特異的活性が見られた。 2.ヒト脳各部位でのmRNA検出: ヒト脳各部位ごとのmRNAが市販されているため、それを用いて、CYP2DのRT-PCRを行った。ヒトの場合でも、検討1の実験動物の脳と同様に、今回調べた線状体を含む脳の部位すべてにおいて、CYP2DのmRNAを検出した。 これらから、サル、ラットと同様に、ヒトにおいても、ドパミン神経細胞を含む線状体をはじめとする広い部位にCY2D mRNAが発現し、さらに脳内でCYP2Dは酵素蛋白として翻訳され、十分活性を有していることが明らかとなった。このことは、脳内でCYP2Dがドパミ神経系で機能している可能性を支持しうる結果であると考えるが、部位に関しては、さらに詳細な検討が必要があると思われる。
|