研究概要 |
電位依存性K+チャネルは神経細胞の発火パターンを決定する極めて重要なイオンチャネルであり、K+チャネルの機能の分子的基盤の解明は神経科学に於ける最重要課題のひとつである。K+チャネルはαサブチャネルとβサブユニットから構成されるが、前者には四つのサブファミリーに属する多数のものが、後者には三種のものがある。カエル卵母細胞等の発現系を用いた実験により、αサブユニットはイオン孔を形成し、βサブユニットはチャネルの不活性化を修飾することが示されている。しかし、神経細胞のK+チャネルがどのようなαとβサブユニットの組み合わせで形成されているかは不明である。 我々は、単一線状体コリン作動性細胞においてKv4.2とKv1.4の2種のαサブユニットと、三種のβサブユニット(β1-3)が同時に発現されていることを明らかにしてきた(Song et al.,1998)。興味深いことにkv1.4は軸索に局在するに対し、Kv4.2は細胞体に局在を示す。このように異なるαサブユニットが神経細胞膜において異なる局在を示すことは、K+チャネルのサブユニット構成の問題の解決の重要な糸口となると考えられる。本研究では、遺伝子工学的に標識したβサブユニットの線状体コリン作動性細胞の細胞膜における部位局在を可視化し、それをαサブユニットの局在と比較することによって、どのβサブユニット(β1-3)がどのαサブユニット(Kv1.4、Kv4.2)に結合してチャネルを構成するのかを明らかにすることが研究目的である。 平成10年度から平成11年度にかけて、線状体コリン作動性細胞の培養を成功させているが、上記目的のために、まず、培養細胞でαサブユニットの局在を確認する必要がある。現在この実験が進行中である。関連した研究課題で成果が得られたので、論文(研究発表)にまとめた。
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