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2000 年度 実績報告書

^<31>P-NMRを用いたグルタミン酸受容体リン酸化の解明とその生理学的意義

研究課題

研究課題/領域番号 11780588
研究機関理化学研究所

研究代表者

平井 宏和  理化学研究所, 記憶学習機構研究チーム, 研究員 (70291086)

キーワードグルタミン酸受容体 / リン酸化 / PKC / GluR2 / NMR / LTD / 記憶
研究概要

グルタミン酸は、哺乳類の中枢神経系において、主要な興奮性神経伝達物質である。グルタミン酸受容体のリン酸化は、記憶や学習の粗過程と考えられているシナプス伝達の長期増強(LTP)や長期抑圧(LTD)に大きく関与することが明らかになっており、最近多くの研究者の注目を集めている。リン酸化の研究を進めるにあたっての大きな問題点は、放射性物質を必要とすることであり、とくに培養細胞や脳切片を使った実験においては、一回の測定で数十ミリキューリーの^<32>Pを必要とし、実験者の人体に対する影響は当然のことながら、その廃棄物処理においても、環境に与える影響も甚大である。これらの問題点を解決するために、非放射性の^<31>P-NMRを用いたin vitroでのタンパク質のリン酸化測定法を開発し、その方法を用いてグルタミン酸受容体のリン酸化部位を同定した。AMPA型グルタミン酸受容体GluR2サブユニットの細胞内カルボキシ末端領域はカルシウム依存性タンパクリン酸化酵素(PKC)によりリン酸化された。また、リン酸化シグナルのケミカルシフトの差により、GluR2のカルボキシ末端領域には少なくとも3ケ所のリン酸化部位が存在し、そのうち1つは880番目のセリンであることが示唆された。この情報に基づき、GluR2のセリン880番を特異的に認識する抗体を作成し、神経細胞においてもGluR2のセリン880番がPKCによりリン酸化を受けることを証明した。ごく最近の研究により、この部位のリン酸化がシナプス後膜上のAMPA型グルタミン酸受容体密度を調節し、小脳に惹起されるLTDに重要な役割を果たすことが明らかになった。このことは本研究結果が有用であったことを示す例である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 平井宏和: "A simple method using ^<31>P-NMR spectroscopy for the study of protein phosphorylation"Brain Research Protocol. 5. 182-189 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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