研究概要 |
A群色素性乾皮症遺伝子欠損マウス(以下XPAマウス)はXP患者と同様に低線量の紫外線照射により高頻度に皮膚癌が発症する。この発癌過程にどのような遺伝子の変化が起こっているか網羅的に調べるため、RLGS (Restriction Landmark Genomic Scanning)法およびcDNA expression array (Atlas ^<TM> Mouse cDNA Expression Arrays)を用いて、この皮膚癌において特異的に変化している遺伝子を調べた。 1、XPAマウスの正常皮膚組織、皮膚癌細胞株、皮膚癌組織よりDNAを抽出し、RLGS法により、約千個のスポットをスクリーニングにした。複数の癌において共通に変化しているスポットについてクローニングを行い、6例は既知の遺伝子、2例はESTデータベースにおいて認められた遺伝子が単離された。そのうちの1つであるDermo-1遺伝子は、正常皮膚上皮細胞では発現していないが5種類のXPAマウス由来の皮膚癌細胞株すべてにおいて発現しているのが認められた。最近の報告によると、転写因子であるDermo-1遺伝子産物はMycにおけるアポトーシスを抑制する活性があることが認められ、この遺伝子が癌原遺伝子の性質をもつことが示唆された。今後、様々な段階の腫瘍検体(過形成、前癌病変、初期癌、進行癌)を用いてDermo-1の発現の変化を調べる。さらに、Dermo-1が強発現している皮膚上皮細胞を作成し、腫瘍原性および紫外線照射後のアポトーシスについて調べる。 2、正常細胞に較べて癌細胞株で発現が変化する遺伝子をcDNA exprsssion arrayを用いて調べた。明らかに癌細胞株で発現量が減少しているものとしてCyclinD2,HSP-86,mHR21,Sox17,myogenic factor 5,BMP-1を確認している。
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