研究概要 |
1.スナネズミにおける体外胚培養法の確立:各種実験用小動物マウス、ラツト、ハムスター、ウサギの初期胚に用いられているWM,M-16,HTF,CZB,HECM-3,RD等の各培養液を用いてスナネズミDay1(交尾確認日)の胚を培養(37℃、5%CO^2)したところ、8細胞期以降への発育は全例で見られなかった。最も有効であったM-16を用いると、Day2およびDay3の胚の28%および29%、Day4の胚の53%が胚盤胞へ達したものの、これらの条件では1細胞期から4細胞期以降へ、2細胞期以降から胚盤胞への発育が困難であった。次に、他系統(MG-B、MG-W)とそれらとの交雑F1およびF2動物から1-2細胞期胚を採取して同様に培養したが、有意な改善は認められなかった。 2.体外受精法の検討:スナネズミ精子の受精能を調べたところ、HTF液を精子前培養および媒精に用いた時に、透明帯除去ハムスター卵子(n=147)の58%、透明帯除去スナネズミ卵子(n=159)の43%にそれぞれ精子の侵入が認められた。しかし無処置のスナネズミ卵子では、精子前培養;精子濃度3-100×10^5/mlで3-6時間、卵子採取;hCG投与後14.5-16.5時間、媒精;精子濃度2-10×10^5/mlで5時間以上、の各条件に加え培養液も様々試みたが、2-7%の卵子に雄性前核を認めたにとどまった。また、マウスでの方法に準じて顕微受精を試みたところ、処理卵(n=128)の63%において雄性前核の形成を認めた。更にそれらを偽妊娠スナネズミの卵管中に移植し5日後に回収したところ、移植胚(n=57)中の12%が桑実期胚もしくは胚盤胞として回収できた。 3.まとめ:最適な体外胚培養および体外受精法の各条件は更に検討が必要だが、顕微受精直後に胚移植を行うことで、卵子および精子から桑実期胚もしくは胚盤胞を得ることに成功した。
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