本研究では、fMRIの高い空間分解能、脳磁図の高い時間分解能の特徴を合わせ持つような脳機能イメージングの開発をめざしている。このため、fMRI画像を撮影中に脳波を同時測定可能なシステムの開発を行い、認知タスクによって生じる事象関連電位の脳波とfMRIの同時計測を目指すとともに、脳磁図とfMRIで得られた結果を比較し、空間的、時間的な信号の変化と両者の関連性を調べることが目的である。 二のような計画の中、MRIで測定中に脳波を同時測定可能なシステムの試作を行った。脳波の電極の近傍では、MRI画像に電極の影響が混入するが、それほど大きな問題にはならないことがわかった。生体アンプを含めた脳波収集システムを構築したが、MRI測定中の脳波測定での問題点として、電極に混入するノイズの影響は依然残っており、MRIと脳波の同時計測は出来ていない。これを解決するには、MRIの画像の撮像と誘発脳波における刺激の同期をとれば、ある程度ノイズを抑えられた信号が得られると考えられる。 さらに、fMRIの特徴を明らかにするために、電気刺激を用い、fMRIの測定と脳磁図の測定を行い両者の比較を行った。、電気刺激における刺激強度、刺激周波数をそれぞれ変化させ、fMRI、脳磁図に及ぼす影響を調べた。その結果、刺激強度を変化させた場合、fMRIにおけるシグナルパワーとMEGにおける電流双極子モーメントの大きさには相関性はあまりないことがわかった。また、刺激周波数を変化させた場合には、最大信号変化を示す周波数に違いがあることがわかった。これらの結果は、fMRIと脳磁図が違う情報を捉えていることを示すものである。このため、脳磁図と同じ神経活動を見ている脳波とfMRIを同時に測定することは今後、重要である。
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