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1999 年度 実績報告書

新規な細胞/組織工学用材料の創製と機能評価

研究課題

研究課題/領域番号 11780615
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

岩崎 泰彦  東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90280990)

キーワードリン脂質ポリマー / 生体適合性 / 組織・細胞工学 / タンパク質吸着 / 細胞粘着 / 傾斜表面
研究概要

本研究では、生体との非特異的な相互作用が小さいリン脂質ポリマーを用いて、特定の細胞を安定に保持できる新しい組織/細胞工学用材料の創製を目的としている。
平成11年度はリン脂質ポリマーと生体成分との作用を理解するために、リン脂質ポリマーで表面構造を厳密に制御された基質上での生体成分との作用について調べた。代表的なリン脂質極性基を有するメタクリル酸エステルω-メタクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン(MAPC)は既報に従い合成した。続いてコロナ照射法を用い、MAPCポリマーのグラフト密度を傾斜的に変化させた表面を調製した。この傾斜表面において血漿タンパク質の吸着および血液細胞、繊維芽細胞の粘着や形態変化を調べ、脂質ポリマーの化学構造の違いが生体成分の挙動に及ぼす影響を考察した。
Poly(MAPC)をグラフトした表面におけるフィブロネクチンの吸着量を酵素標識免疫法を用いて測定した。ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(Poly(MPC))、ポリ(6-メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン)(Poly(MAPC))をグラフトした表面では、フィブロネクチンの吸着量がグラフト密度が増すにつれて減少した。一方、ポリ(10-メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン)(Poly(MDPC))をグラフトした表面では、フィブロネクチンの吸着量がいったん減少するが、ある密度以上になると再び増加した。MAPCユニットのメチレン鎖に着目して比較するとpoly(MHPC)をグラフトした表面がフィブロネクチンの吸着を最も抑制した。続いて、ヒト繊維芽細胞を培養した。フィブロネクチンの吸着と同様にpoly(MHPC)をグラフトした表面が最も繊維芽細胞の粘着を抑制した。
分子構造および材料構造の双方に着目し、リン脂質ポリマーと生体成分をを明確にすることができた。特に、MHPCポリマー表面はリン脂質極性基の配向性から、MHPCユニット組成が低い場合においても、効果的にタンパク質の吸着および細胞の粘着および活性化を抑制し、表面密度によってこれらを制御できることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Y.Iwasaki et al.: "The effect of the chemical structure of the phospholipid polymer on fibronectin adsorption and fibroblast adhesion on the gradient phospholipid surface"Biomaterials. 20. 2185-2191 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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