ヒアルロン酸-マンガン複合体の調製:分子量100万のヒアルロン酸のカルボキシル基にエチレンジアミン、無水ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を結合させ、マンガンイオンを配位させた。ヒアルロン酸のカルボキシル基当たり6%のDTPAが結合しマンガンの導入率は5.5%であった。 この複合体を生理食塩水にて繰り返し透析し、マンガンがDTPAに安定に配位していることを確認した。 本複合体のラジカル消去能:キサンチン-キサンチンオキシダーゼ法により測定した酸素ラジカルの消去能は、IC_<50>にしておよそ1×10^<-6>Mn mol/Lで、遊離のマンガンイオンとほぼ同じ値を得た。 一方、ESRで測定した水酸ラジカル消去能(IC_<50>)が3×10^<-6>Mであったのに対して、遊離の塩化マンガンは消去能を示さない。この原因については現在検討を行っているが、複合体化による効果でないかと推測される。 本複合体の体内動態:マウスにヒアルロン酸-マンガン複合体を投与し経時的に血清中および各臓器のマンガン含量を測定した。 その結果、半減期は約10分であり、遊離の塩化マンガンはもちろんスーパーオキシドジスムターゼよりも長かったが、まだ不十分である。 これは各臓器などへの蓄積か、酸素分解による低分子化によるものか、現在検討中である。 タンパク質-マンガン複合体:ヒアルロン酸に変わるマンガン錯体のキャリアとして、すでに体内停滞時間の延長などにおいて実績のあるポリエチレングリコール修飾タンパク質に錯体を導入し、今後さらなる体内での安定化を目指す予定である。
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