研究実施初年度である本年度は、培養細胞層の電気インピーダンス計測(ECIS; Electric Cell-substrate Impedance Sensing)が可能な流れ負荷システムの構築を行った。 通常のECISの計測では、静置培養下の細胞の計測しか行うことが出来ないが、本研究ではフローチャンバー設置用電極アレイ、ならびにECIS計測用のフローチャンバーの製作を行った。装置の妥当性の検証として、細胞を播種せず、フローチャンバー設置用電極アレイのみを用いてインピーダンスの計測を行った。その結果、静置培養用電極アレイと同様の値が得られた。また、本装置に培養内皮細胞を播種して流れを負荷した後に細胞を観察したところ、内皮細胞が伸長し、また流れ方向へ配向する様子が観察された。したがって本装置を用いれば、内皮細胞が生体内に置かれているメカノストレス負荷状態におけるバリアファンクションの評価が可能であることが示唆された。現在のところ、電極コネクターなどの既存の装置を流用したシステムとなっているため、流れ負荷状態での内皮細胞の観察が不可能となっている。次年度はさらに装置に改良を加え、細胞を観察しながら計測が可能なシステムを構築する予定である。
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