(1)マルチパターン化多孔質フィルムの作製: 基材としてセグメント化ポリウレタンフィルムを用い、エキシマレーザーマイクロ加工装置にて微細加工をおこなった。レーザー光はマイクロ加工機内のビーム成形光学系にて均質化することができ、円形の微細孔を有するホトマスクを用いると、ポリウレタンフィルムに微細孔を作製することができた。また、コンピュータ制御のサンプル移動ステージと組み合わせることにより、多孔化設計することが容易であった。走査型電子顕微鏡にて加工状態を観察すると、極めて高い精度で多孔化できることが分かった。 (2)多孔質チューブの作製および生体血管内への誘導、留置: 多孔質化したポリウレタンチューブを既存のステント外表面にラッピングした。これをバルーンカテーテルにマウントした。犬の大腿動脈から総頚動脈に誘導し、バルーンを拡張することにより、ステントが拡張され血管内壁に密着して固定化された。術後、抗血小板剤を投与することにより、抗血栓対策を行い、一定期間移植を行った。 (3)組織学的観察: 犬の総頚動脈内に留置した多孔質チューブの開存性はX線血管造影法により評価した。また、一定の移植期間後に周りの組織と伴に摘出した。走査型電子顕微鏡にて血管内腔面を観察すると、極めて良好な内皮化を示した。組織の薄切片を作製し、組織学的評価を行うと、ポリウレタンチューブの多孔化密度に依存した血栓形成と内膜肥厚が起こっていることが示された。
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